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■新潟の佐渡トキの田んぼを守る会について

トキの田んぼを守る会

トキの田んぼを守る会


所在地 新潟県佐渡市新穂長畝1174
電話番号 0259-22-2025
FAX 0259-22-2045
ホームページ

■ 佐渡トキの田んぼを守る会について


 ご存知の通り、佐渡は本州の日本海にある離島です。 四方を海に囲まれていることから漁業が盛んというイメージですが、農業も盛んな産業のひとつです。
 島の沖を流れる海流の影響で夏場は本土より平均気温が低く、出穂から刈り取りまでの期間が長いため、しっかりと穂を熟させることができます。島の南北に走る山脈から流れる水はミネラルが豊富に含まれ、その水で作られるお米は美味しく出来上がります。また、粘土質寄りの土質は稲作に適していますし、ミネラルを多く含む海から吹き付けるの風はお米を美味しくしてくれます。このように佐渡島ならではの、美味しい米作りに適した自然の環境が揃っています。
 そこで、今回は佐渡のお米についてご紹介させていただきます。

 佐渡という言葉を聞くと、すぐに連想できるものの1つに「トキ」があります。トキは近代以降その個体数が激減し、1952年に特別天然記念物に、 そして1960年には国際保護鳥として指定された極めて稀少な生物です。
 日本最後の野生のトキの生息地であった佐渡は、トキ保護センターが開設され以来トキの保護に取り組み、2008年には自然へと放鳥がなされ、トキの野生復帰が本格的に始まりました。 そして、トキの野生復帰に伴い、トキが暮らせる豊かな自然を取り戻そうという自然環境への取り組みも行わ農業でも同様に、トキが自然に戻ってきても元気に暮らせる環境を整えようと、 田んぼに生きものを増やしていくお米作りに取り組んできました。

 そこうした取り組みに早くから活動を始めていたのが「佐渡トキの田んぼを守る会」です。 トキの自然放鳥が行われるようになるずっと前から、 トキが暮らせる自然の生命豊かな水田を守り育てるという目的のもと、 当時の新穂村(現在の佐渡市新穂)の本間村長の呼びかけによって、平成13年に発足しました。
 今回お話をお聞きした斎藤真一郎さんは、当初からの会員で現在会長を務めていらっしゃいます。 斎藤さんが、自然環境に配慮した米作りを挑戦しようと思ったきっかけは、 本間村長の呼びかけを聞き、もう一度、トキに佐渡の空を飛んでもらいたい、という気持ちが生まれたからなのだそうです。
 会の発足当初、斎藤さんのように田んぼの生きものを増やすお米作りに参加した会員数はわずか7名でした。 しかし、年々会員数は増え、平成22年現在では26人ほどの会員が自然環境に配慮した米作りに取り組んでいます。

佐渡の田園風景

佐渡の田園風景

佐渡トキ保護センターのトキ

佐渡トキ保護センターのトキ

 「佐渡トキの田んぼを守る会」の立ち上げ当初、田んぼに生きものを増やすという目的のため、農薬や化学肥料を過剰に使用しないで済むようにと導入されたのが「不耕起栽培」という方法でした。 不耕起栽培とは、土を耕す工程を行なわず農作物を栽培する方法です。土を耕さないことで、雑草の繁殖を抑え農薬の使用も抑えることがきる、また、土壌の状態を保全する作用などのメリットがあるとされています。
 ただ、この方法はあまり上手く佐渡の米作りに合わなかったため、次に取り組んだのは「秋代冬みず田んぼ」でした。

 「秋代冬みず田んぼ」は、まったく耕さない不耕起栽培ではなく、秋に代掻きをし冬の間は水を田んぼに張っておくという半不耕起栽培です。この方法は、秋のうちに土を耕すことで土の発酵を早めて、春の田植えから夏の実りの時期に一番土の栄養が豊富になるようにした栽培方法です。また、雑草が芽を出す春から夏に、表面を栄養豊富なトロトロ層で覆うことで、雑草の抑制にも効果があるそうです。 さらに、田んぼに水を張っている期間が長い為、生きものが暮らせる環境が守られています。
 肥料にはコヌカやオカラなどの有機質の肥料を使用しています。これらの有機質の肥料は、生育量の確保や食味の向上、抑草などの効果を得ることができます。 有機質の肥料の使用は、土そのものを健康にすることによって、稲を元気に育てています。

田植え

田植え

斎藤真一郎さん

斎藤真一郎さん

 ただ、農薬を使用した場合と違い、「秋代冬みず田んぼ」を行っても全く雑草が生えないというわけではありませんので 人の手による除草作業が必要です。 また、有機質の肥料は、化学肥料に比べると収量が上がらなかったり、その年の天候によって食味にも影響が出やすいなどの 苦労も多いのが実情です。

 農薬や化学肥料を使用すると、量・味ともに安定した均一のお米作りが可能です。すでに生産ラインの出来上がった工場での生産にも似た印象を受けます。
 反対に、農薬や化学肥料に頼らない栽培方法では、安定したお米を作るために、大変な時間と手間がかかっています。その上、気候や自然条件に左右されやすいので、それだけの時間と手間をかけても、絶対に毎年上手くいくとは限らないのです。それでも、これからの自然と共存する農業のためには、この栽培方法を続けていく必要があります。

オカラから作った有機質の肥料

オカラから作った有機質の肥料

肥料撒き

肥料撒き

 農薬の使用を減らし、トキをはじめとする生きものがたくさん生息する田んぼを目指して、「佐渡トキの田んぼを守る会」では年に4回の「田んぼのいきもの調査」を行っているそうです。生きものが増える、ということは農家にとっても目に見える成果の一つです。それは農薬に頼らない米作りのやりがいへとつながっていきます。

 それを具体的な数字としてわかりやすく検証する方法としても、生きもの調査は非常に意義のあるものです。
 佐渡市の認証米の場合、認定基準では年2回以を義務付けされていますので、会が行う回数はその倍です。回数が多い分、田んぼの生きものに対する意識がより高くなります。

トロトロ層

トロトロ層

斎藤さんの田んぼにはツバメがいます

斎藤さんの田んぼにはツバメがいます

  実際、今まで減農薬栽培をしていなかった田んぼに、偶然トキがやってきたことで、 農薬に頼らないお米作りへの取り組みを始めた農家もいるそうです。40種類以上の生きものがいる田んぼが良い田んぼとされていますが、中にはなんと70種類以上の生きものが暮らす田んぼもあるそうです。
 ただお米を作るだけでなく、生きものとの共存を図ってお米作り取り組むことで、 田んぼで暮らす生きものへの愛情、そして自然環境への意識が高まっていきます。

江(え)の設置

江(え)の設置

江の除草整備

江の除草整備

 また、これだけの生きものが暮らせる田んぼで作られたお米として、 「消費者へのわかりやすい基準」のひとつにもなることを望んでいるそうです。 農家が田んぼに暮らす生きもののことを自身の言葉で伝えることで、 消費者の安心とこれからの農業への理解を深めることに繋がっていくことに期待もしているのだそうです。
 東京など都会から毎年たくさんの子供たちが、生きもののいる田んぼでのお米作り体験をしに佐渡へやってきているそうです。 田んぼの生きものや土、草に触れる体験をしている時の子供たちは、とても楽しそうだと斎藤さんはお話してくださいました。

  佐渡市では2008年から認証制度として「朱鷺と暮らす郷づくり」という認証をうけたお米が作られるようにました。 「朱鷺と暮らす郷」のお米となる基準は 「1、佐渡市で栽培された米であること」 「2、栽培者がエコファーマーの認定を受けていること」  「3、特別栽培による生産された米であること」 「4、生きものを育む農法」により栽培していること」この4つです。
  4つめの「生きものを育む農法」とは、田んぼ脇での江(え)や魚道の設置や冬期湛水などで生きものが生きていけるような環境を整える農法です。このように環境を人の手で整備することで、年間を通して生きものが生きていける田んぼを目指しています。
 ただ、このような環境の整備には、やはりひと手間がかかるそうで、江の除草や田んぼと区切る畦の整備などなかなか大変だと斎藤さんはおっしゃいました。今までの、ただ米を作るだけの米作りにはなかったひと手間なのです。ですが、この手間と工夫が田んぼに生きる生きものを確実に増やしていきます。
 こうして農家の皆さんが努力が詰まって出来上がった認証米の売上の一部はトキ保護基金に寄付されています。

冬みず田んぼ

冬みず田んぼ

実りの時期の田んぼ

実りの時期の田んぼ

 佐渡市全体の取り組みとしても「エコアイランド佐渡」という自然環境の整備や保全、エコを意識した呼びかけやイベントなど ひとつの環境モデルになるべく積極的な取り組みを行っています。
 佐渡という島全体が、自然と共存する環境作り、そして米作りの1つのモデルケースとして継続的に活動が展開されていくことが、 斎藤さんにとっても、目指す目標のひとつなのだそうです。 自然環境の保護・整備、そのシンボルとして朱鷺のいる佐渡でのこうした取り込みは、 わかりやすい形で佐渡以外の地域にも、生きものを増やすという意識が広まりやすいと考えるからです。
 「生きものがたくさんいる田んぼ、まずはその現状をたくさんの人に知ってもらいたい」 そんな気持ちで斎藤さんたちは、決して楽ではない、農薬や化学肥料に頼らないお米作りを続けています。
 これからのお米作りのあり方の1つとして、この「佐渡トキの田んぼを守る会」の活動は、さらに注目を集めていくのではないでしょうか。
(写真協力:佐渡トキの田んぼを守る会)