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■お福酒造について

お福酒造

お福酒造株式会社


創業 1897年
所在地 新潟県長岡市横枕町606
電話番号 0258-22-0086
FAX 0258-22-0087
ホームページ http://www.ofuku-shuzo.jp/

■ お福酒造について


 今回ご紹介する長岡市の「お福酒造」は、信濃川の東側に沿って幅15~20㎞で北北東から南南西の方向に延びる東山丘陵の、その麓に位置しています。平成16年に発生した新潟県中越地震で大きな被害を受けた山古志村はこの東山丘陵にありますので、ここの酒蔵でも地震の際には蔵全体が大規模半壊との判定を受けるほど大きな被害が発生したのでした。結局建物は復旧することがかなわず、全面的な改築をして平成19年から新しい蔵での酒造りを漸く始めることができたのです。

お福酒造 外観

お福酒造 外観

雪の中の蔵

 この酒蔵をご紹介するには、まず創業者のことからお話しなければならないと思いますし、またそれがこの酒蔵を知っていただくためのもっとも近道のように思うのです。

 明治元年生まれのこの蔵の創業者は、東京工業大学の前身である東京工業学校の応用化学科で発酵学や醸造学を学び、それまで杜氏の経験や勘だけで造られていた日本酒を、科学的な観点からその醸造の仕組みを理解していた数少ない酒造技師であり醸造研究家でもあったのです。当時未だ学問の世界でも稀有な存在であったその醸造研究家が、昔からのこの地域の大庄屋であった岸家に婿入りして岸五郎となり、明治30年に岸五郎商店として酒造業を創めたのです。しかも同氏は、それに先立つ明治27年には日本で始めての、酒造りを科学的に解き明かした醸造テキスト「醸海拾玉(じょうかいしゅぎょく)」を書き著した人物でもあったのです。

蒸米

麹室 岸磨彦常務

岸磨彦常務

箱麹

 同氏は商売としての酒造りとともに、酒造りの基礎的研究も精力的に推し進め、醸造用水の加工による軟水仕込みの実現化や、酒母の腐敗防止と培養期間短縮の技術として乳酸を使った「酒母速成法」の実験にも成功しました。この酒母速成法は、後に国税庁醸造試験場技師の江田鎌治郎氏によって完成された酒造界での革命的な発明と言われる「速醸もと」の、開発の基礎となる極めて重要な研究成果だったのです。

 酒の原料の醪(もろみ)を発酵させるのに必要な優良清酒酵母を培養するための酒母(もと)を造る際に、どうしてもその樽やタンクの中に空気中から雑菌や野生酵母が混入してくることが避けられません。従ってそれらの繁殖を防ぐために蔵や自然の中に生息している天然の乳酸菌を取り込んで、その生成する酸で雑菌や野生酵母を死滅させてしまうやり方が経験的に行われてきておりましたが、それは山卸しと言われる大変な労力を伴いながら、ひと月ほどの時間を要するものでした。それを岸五郎氏が乳酸添加による酒母造りを思いつき、実際に試してみたところ雑菌や野生酵母の働きを抑えるとともに培養期間も大幅に短縮できることが可能となったというものなのです。この「酒母速成法」を基にして完成された「速醸もと」はたちまちのうちに全国の酒蔵に普及し、現在も95%以上の酒蔵で使用されているのです。

 この偉大なる創業者によって興された酒造所は、昭和24年に改組され「お福酒造」として今日に引き継がれているわけですが、その岸五郎氏から直々に指導を受けた愛弟子の吉井民夫氏が85歳の現在(2009年2月)も現役の杜氏としてその技術をこの蔵の酒造りに生かしているのです。

 この蔵の酒造りの特徴は創始者の口癖といわれた「醸造はひとつの活劇場なり、その千変万化、究極とするところなかるべし」で表されるとおり、一つとして同じ状況にはならない酒造りはこれで極めたということは無く、常に最良のものを求め続けなければならないとの教えに愚直なまでに従い努力していることではないでしょうか。

 このように経験と勘だけに頼って酒造りをしていた明治時代の酒造りの現場で、醸造研究者がそのトップとして直接指導し、学問に裏打ちされた理論を理解した上で醸造を行っていたこの蔵は、日本でも最も先進的な酒蔵であったと考えられます。

酒母

蔵内か見る山の横井戸

蔵内か見る山の横井戸

井戸からひいた仕込み水

井戸からひいた仕込み水

 この酒蔵の仕込み水は創業者の岸五郎氏が発見したもので、山の横井戸からほとばしり出る自然水を使っています。軟水の研究にも大きな足跡を残した同氏が自らの蔵の仕込み水として選りすぐった水が現在でも豊富に得られることは、この蔵にとって何物にも代えがたい貴重な財産ではないでしょうか。この水は自社の敷地内の山から1.5㎞ほどの間をパイプで繋がれて絶え間なく運ばれて来ています。中越地震の際には建物を含め周辺の自然も大きな被害を受けましたが、この大切な水源は被害を受けることなく、送水パイプが一部破損はしましたがすぐに復旧することができ大事に至らなかったことは何よりの幸運でした。

平成14年に黄綬褒章を受章した吉井民夫杜氏

吉井民夫 杜氏

岸富雄社長

岸富雄 社長

 現在の社長は4代目の岸 富雄氏ですが、とても物腰が柔らかい、真面目なお人柄がお会いしてすぐに感じ取れる方です。このような輝かしい歴史のある酒蔵であることをひけらかすこと無く、一切の妥協を許さず地道に頑なに創業からの酒造りを守り通している姿は、売らんがための酒造りではなく、正に究極の酒を造ることを目指し真剣に取り組んでいるこの蔵の姿勢がそのまま経営者の人柄に現れているように思うのです。そんな真面目な酒蔵の造る日本酒を皆様も是非飲んでみていただきたいのです。