新潟屋のこだわりご利用案内カートを見るマイページお問い合わせサイトマップトップへ
アートコレクション
アートコレクション
写真で描く新潟の風土
生産者紹介
生産者紹介
新潟屋が取り扱う商品の
全生産者を掲載しています
おすすめのリンク集

ほめ達 新潟支部
HOME»  生産者紹介 日本酒 一覧»  ■君の井酒造について

■君の井酒造について

君の井酒造

君の井酒造株式会社


創業 1842年
所在地 新潟県妙高市下町3-11
電話番号 0255-72-3136
FAX 0255-73-7393
ホームページ http://www.kiminoi.co.jp/

■ 君の井酒造について


 日本酒造りの現場を今までに幾つか見せていただきましたが、100年以上経つ古い木造や土蔵造りの蔵の中で昔ながらの道具を使い全ての作業に人の手を 掛けながら造っているところもあれば、巨大な建物の中で殆どの作業が機械化され空調設備で温度や湿度がしっかりと管理された近代的な工場もありました。 どちらが良いとか悪いとかではなく、各酒蔵の酒造りに対する考え方なのだと思いますし、このような違いは他の製造業でも一般によく見られることです。

 ただ最も大切なことは、米と麹と水だけで麹菌や清酒酵母という目に見えない微生物の働きを最大限生かしながら、 本来の製法でその蔵の目指す最良の酒造りをやっているかどうかだと新潟屋は考えています。

君の井酒造 外観

君の井酒造 外観

妙高山

妙高山

 さて今回ご紹介する蔵は、どちらかと言えば昔ながらの道具や設備を多く残していて、最近では見ることが少なくなった「甑」(こしき:米の蒸し器)を載せる、 直径が1.5mほどの大きな釜や、山廃もとに使う杉材で作られた「暖気樽」(だきだる)などが当たり前のように蔵の中に置かれている「君の井酒造」です。

 北国街道は江戸時代に整備された街道で、中山道の追分から分かれ新潟県の直江津まで続く、善光寺への参拝のために整備されたものと言われ、 佐渡で採掘された金を江戸へ運ぶためにも重要な街道でした。その宿場町のひとつに妙高山の麓に位置し、山の景色が美しい荒井宿があり、 そこの北国街道に面した蔵で江戸時代から酒造りをしていたのが「君の井酒造」です。創業は藩からの酒造りの鑑札で確認できる1842年としておりますが、 それより以前から酒を造っていたらしいと言うほど歴史ある酒蔵です。

大きな釜

暖気樽

暖気樽

蔵内

 この蔵の特徴は、厳しくも酒造りには恰好の自然の中で、妙高山火打山からの豊富な伏流水に恵まれ、地元産の良質な米にも恵まれ、 それに長い歴史の中で培われた酒造りの魂が言葉となった「惜しみなく手をかける酒造り」をそのモットーにした、手を抜かない真面目な酒造りと言えるでしょう。 そのことを最も良く現していることが戦前戦後を通じ、現在までずっと山廃仕込みを続けていることではないでしょうか。

 山廃とは酒母を造る手法の一つです。酒母は、もろみを仕込む際にブドウ糖をアルコールに変える優良清酒酵母が大量にないと雑菌が繁殖し酒を腐らせてしまう原因となるため、 優良清酒酵母を純粋にしかも大量に培養させたものです。そこで優良清酒酵母を守りながら雑菌を死滅させる働きをするのが乳酸なのですが、 この乳酸をどのようにして得るかによって「生もと(きもと)系酒母」と「速醸系酒母」に大別されます。生もと系は乳酸菌を酒母の中に繁殖させて乳酸菌が作り出す乳酸を利用しますが、 速醸系は他で精製された乳酸そのものを添加するやり方です。現在では速醸系酒母が主流になっていますが、山廃は昔ながらの製法である生もと系の代表的な酒母なのです。

井戸と早津宏杜氏

井戸と早津宏杜氏

仕込み風景1

仕込み風景2

 山廃で醸す酒母の中では、時間の経過と共に微生物による働きが実に巧みに引き起こされていて、硝酸還元菌や乳酸菌が雑菌の繁殖を抑えながらその役割を引き継いで行くのですが、 この間に糖化を促進させるための低温期、乳酸菌の増殖を促進させるための高温期と微生物がそれぞれ働きやすい状態をつくりださなければなりません。 先に紹介した「暖気樽」は熱湯をその中に満たし木栓をし、酒母桶の中に入れられ、杉の適度な熱伝導により微妙な温度管理を行うための道具なのです。

 このようにさまざまな種類の微生物の働きによって造り出される山廃もとは、速醸系の2倍以上の30日程の時間が掛かりますが、これらの工程を経ることで力強く幅のある複雑な味わいの酒になるのです。

厳しい目で点検

厳しい目で点検

田中智弘取締役

田中智弘取締役

明治時代の貴重な写真資料 蔵の様子

明治時代の蔵の様子

 前にも述べましたが、この蔵ではこの「山廃仕込」の酒をずっと造り続けて来たのだそうです。特に終戦後の米不足によって酒造りが困難になった際に、 どこの蔵も国の指導もありアルコールを添加することで酒を増量して凌いで来たのです。つまり米と麹で造られた酒を水で増量し、 そこにアルコールを添加することで安価で簡単に醸造した量の数倍の酒を造ることができるようになり、それが当たり前のこととして流通していたのです。 水で増量することで薄まった味をブドウ糖や水飴などの糖類や、クエン酸やコハク酸などの有機酸、アミノ酸塩などで調味していたのです。

 ところがこの蔵では、薄まった酒の味を、山廃仕込で造った力強く複雑な味わいのある酒を加えることで調味していたのだそうで、 そのために手間の掛かる山廃仕込の酒を僅かずつながらも造り続けていたことが今日の技術を支えてきたのです。

 このことを聞いただけでも、この蔵の酒造りに対する姿勢、考え方が良く分かったように思いますし、それだけの魂が込められた深みのある山廃仕込の酒を飲んでみて更にその思いを強くしたのです。
(写真提供:君の井酒造株式会社)