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■田原酒造について

田原酒造

田原酒造株式会社


創業 明治30年(1548年)
所在地 新潟県糸魚川市押上1丁目1番
電話番号 025-552-0109
FAX 025-552-2189
ホームページ http://www.taharashuzo.com/

■ 田原酒造について


 糸魚川市は新潟県の最西端に位置し、南側は長野県、西側は富山県に接しています。市の面積の約90%が山林・原野などで、中に2つの国立公園を持つとても自然豊かな町です。古くは日本海側を縦貫する街道の一部の加賀街道(金沢~高田)と、塩の道とも呼ばれる千国(ちくに)街道(糸魚川~松本)との接点として、また関西と東北・北海道との交易を担っていた北前船の寄港地として、陸上海上の交通の要衝でもありました。そのため今も町の中には宿屋や海産物商などが軒を並べる、古くから繁栄した町だったのです。
 その名残として毎年4月に行われる天津神社春大祭は別名「けんか祭り」とも言われ、500年の歴史を持ち、氏子地区である押上地区と寺町地区の男衆が五穀豊穣と大漁を祈願して2基の神輿を担いで走り回り、豪快にぶつけ合う勇壮な祭りが有名です。

田原酒造 外観

田原酒造 外観

田原酒造 玄関口

 今回ご紹介する「田原酒造」は、ここ糸魚川市押上にある酒蔵です。私たちが取材に伺った前日にこの「けんか祭り」が行われたと言い、天津神社の氏子でもある田原与一社長も元気に神輿を担いだとのお話でした。
  昔から続く落ち着いたたたずまいの商店が立ち並ぶ通りに面し、大きな看板も無く入口に吊り下げられた酒林が無ければ見過ごしてしまいそうな控え目なこの蔵の風情は、いかにもこの酒蔵らしく感じられたのです。明治30年(1897年)の創業ですから110年以上続いている酒蔵ですが、残念ながら新潟市内ではこの酒蔵の酒を見ることは滅多に無く、現在500石程の生産量とのことですので、多くは地元で消費されているものと見受けられます。しかしながらこの酒蔵ではさまざまな種類の特定名称酒(本醸造や純米酒以上の高品質酒)を造っていて、丁寧に手づくりで醸された言わば隠れた銘酒がここにはあったのです。

田原酒造 田原与一代表

田原与一代表

田原酒造 蒸米

蒸米

 この酒蔵の特徴は幾つか挙げられますが、まず第一には昔ながらの手間を惜しまない丁寧な「つくり」ではないでしょうか。米は県内産の「五百万石」を使い、蒸米は全量を大きな和釜の上に載せた甑(こしき)で行っています。そして製麹作業も全量を麹蓋や麹箱を使い、手づくりで行っているのです。現在では連続蒸米機や自動製麹機を使っての酒造りをしている酒蔵が多い中で、今でも全量を手作業で行っているのは県内でもそう多くはないはずです。しかも仕上がった醪(もろみ)は全量を木綿でできた酒袋に入れて、槽(ふね)と言われる四角い箱に並べて上から佐瀬式と言う機械でゆっくりと圧を加えながら時間を掛けて酒を搾るのです。この上槽作業も、最初は酒の自らの重さで酒袋から自然に滲み出るのを待った後、今度は上から圧力を掛けて搾り、更に袋を積み替えて再び搾るというとても手間の掛かる作業なのです。

田原酒造 上槽1

上槽

田原酒造 上槽2

 米この蔵では現在2基の槽を使っていますが、そこに据えられた佐瀬式の機械はいずれも古い物で大正年間と昭和初期に作られたものだそうです。そしてその2基の四角い槽はコンクリート製なのですがその外面には小さな四角いタイルが貼りめぐらされていて、多くは木製であったりコンクリート製の打ちっ放しであったりで、このようなタイルを貼った槽はとても珍しいものです。こういったところまで設備に気を遣ったこの蔵の先達の心意気がここからも伝わってくるのです。

田原酒造 槽(ふね)

槽(ふね)

槽(ふね)のタイル貼り部分

タイル貼り部分

  もうひとつの特徴として、この蔵の仕込み水は軟水の天然湧水を使用しています。以前は蔵の敷地内の井戸水を仕込み水として使用していましたが、近くで高速道路の建設工事があってからどうした訳か水質が変わってしまい、以来仕込み水としての井戸水の使用を諦めたのです。そこで蔵から10㎞程山間の頚城駒ケ岳の山麓に天然の湧水があることを知り調べたところ、酒造りにとても適した水質であったことから、仕込みの期間中ずっと片道30分程を掛けてその天然湧水をトラックで汲みに行っているのです。

田原酒造 天然湧水採取地付近の風景

天然湧水採取地付近の風景

田原酒造 やわらかな天然湧水

天然湧水

 更にこの蔵の造る酒にはもうひとつ、秘密があります。それは嘗て敷地内の井戸水を使って蒸米のためにお湯を沸かしていた和釜の内面に、炭酸カルシウムなどの難溶性物質が白く貼り付くスケールに悩まされていた時に導入した装置です。その装置は、電子場に水を通して水に微弱な電流を与えることで水の分子とミネラルイオンの極性を変える働きがあり、それによりスケールが付着しなくなり、また付着していたスケールも剥がれ落ちたと言うのです。それは長さ40~50cm程のパイプ状のもので、その中に水を通しただけなのです。
 この蔵では井戸水を使わなくなった後、天然湧水で造った酒をたまたまこの装置に通してみたところ、酒が熟成させた後のように味が円やかになったのです。酒の熟成については未だ科学的には十分解明されていないと聞きますが、この装置を活用することで長期熟成に似た効果が得ることができ、とても舌触りの良いお酒ができるようになったそうです。

田原酒造 天然湧水を運ぶタンクとトラック

天然湧水を運ぶタンクとトラック

田原酒造 水源の近くにある貯水池

水源の近くにある貯水池

 またこの酒蔵の建物の多くは昭和初期に建てられたものですが、その中で特に興味深い建物が麹室です。麹室に入ってみると他所の酒蔵のものと大きな違いは無いのですが、窓の周りの外枠が大きく外側に飛び出しているのです。つまり壁がとても厚くなっているのです。麹室は麹菌の働きを活発にするため温度や湿度の管理がとても重要ですが、この麹室は壁厚が1m程もあり、その中にもみがらが詰まっていて、天井や床も同じようにもみがらが入った構造になっているのだそうです。空気を多く中に持つもみがらは保温性が高く、また調湿機能を持つ素晴らしい天然素材だったことに改めて気付かされました。満足な断熱材が無い時代に、このような知恵と技術を尽くして建物を造った、この蔵の酒造りへの強い思いが感じられる麹室なのです。

田原酒造 麹室の窓から見る壁の厚み

麹室 壁の厚み

田原酒造 香りよい酒

 大手の酒蔵とは違い生産量こそ少ない酒蔵ですが、昔ながらの手造り製法を今も変わらず大切にし、じっくりと着実に自分たちの信じる酒造りを守り続けている田原酒造の銘酒を是非飲んでみていただきたいのです。
(資料協力:田原酒造株式会社)